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Research Theme

屋内測位・空間センシング

Indoor Localization / Spatial Sensing

音・電波・光などの反射や伝搬に含まれる情報を読み解き、人やロボットの位置、空間の状態を捉えるセンシング技術を研究しています。特に、従来はノイズや誤差要因とされてきた反射波を新たな情報源(仮想アンカー)として積極的に活用し、幾何・物理モデルとAIによる学習の両面から、高精度と頑健性を両立する次世代の屋内測位技術の実現を目指しています。

音響を中心に、可視光、UWB、BLE、IMUなど幅広いセンシング技術を扱い、ロボット・ドローントラッキングへと対象を広げています。さらに現在は、これまで培ってきた反射・伝搬情報の活用を発展させ、極めて少ないインフラで成立する屋内測位にも取り組んでいます。

Selected Research

研究プロジェクト

01
SyncEchoの概要図。直接波では測距が難しい状況に対し、高次反射を用いて時刻ずれを推定する。

反射波を仮想アンカーとして活用する屋内測位

従来の屋内測位では、送信機から受信機へ直接届く直接波を利用して位置を推定することが一般的です。一方、実際の屋内では、音や電波は壁や床、天井といった構造物で反射し、これらの反射波は測位精度を低下させる誤差要因として扱われてきました。

本プロジェクトでは、こうした反射波を新たな情報源として積極的に利用する屋内測位技術を研究しています。例えば音響測位では、反射波を壁や床の向こう側に存在する「鏡像スピーカ」から届く信号として捉え、幾何・物理モデルによって読み解くことで、鏡像スピーカを仮想的なアンカーとして利用し、少数のスピーカから高精度に位置を推定します。

その鍵となるのが、多数の反射波から利用すべき信号を正しく特定する技術です。信号処理に加え、反射経路の確率モデル、送信機の指向性・周波数特性、幾何的制約などを組み合わせて反射波を識別します。こうした反射を情報へ変換する考え方と、それを支える信号処理・推定・モデリング技術が、その後の屋内測位研究につながる基盤となっています。

02
音響位置指紋測位の概要図。直接波と反射波を含む相関波形をCNNで学習し、スマートフォンの2次元位置を推定する。

複雑な反射・伝搬特性を学習する位置指紋測位

反射波を鏡像スピーカや仮想アンカーとして幾何的に利用するアプローチは強力ですが、実環境では多数の反射や遮蔽が重なり合います。すべての反射波を人間が識別し、明示的なモデルとして利用するには限界があります。

本プロジェクトでは、音の到達時間や相関波形に現れる直接波・反射波の複雑なパターンを位置指紋として捉え、深層学習によって位置推定に結びつける技術を研究しています。人間の目では区別が難しい高次反射や伝搬特性も、AIによって利用可能な情報として引き出せるのではないか、という考え方に基づいています。

少数の実測データに加え、シミュレーターによる大規模な学習データを組み合わせることで、実環境ごとの反射・伝搬特性を効率的に学習します。近年は、データ駆動型の学習に物理モデルや幾何的制約を組み込むPhysics-informedなアプローチに特に注目しています。

03

可視光ドローントラッキング

夜間巡視や建物点検などの用途に向けて、障害物の影響を受けにくく、屋内でも安定して飛行できるドローンへの期待が高まっています。安全な制御には、GNSSが使えない屋内環境でも高速かつ高精度にドローンの位置・向きを推定する技術が必要です。

本プロジェクトでは、天井に設置した変調LEDとドローンに標準装備される着陸用の下向きカメラを活用し、床面に反射した光からドローンの状態を推定する可視光測位に取り組んでいます。ローリングシャッター画像に現れる周波数パターンからLEDの到来角(AoA)を読み出すことで、追加センサを抑えた屋内ドローン測位を実現します。

本研究は、北海道大学 知能情報学研究室 のリードのもと、ともに進めています。

04

ミニマルインフラによる屋内測位

これまで培ってきた反射・伝搬情報の活用をさらに発展させ、できるだけ少ないインフラで高精度かつ頑健な屋内測位を実現することを目指しています。現在は、スパースなアンカー配置に加え、アンカー間、およびアンカー・タグ間が非同期な環境でも成立する屋内測位技術の研究を進めています。

Ongoing Project