反射波を仮想アンカーとして活用する屋内測位
従来の屋内測位では、送信機から受信機へ直接届く直接波を利用して位置を推定することが一般的です。一方、実際の屋内では、音や電波は壁や床、天井といった構造物で反射し、これらの反射波は測位精度を低下させる誤差要因として扱われてきました。
本プロジェクトでは、こうした反射波を新たな情報源として積極的に利用する屋内測位技術を研究しています。例えば音響測位では、反射波を壁や床の向こう側に存在する「鏡像スピーカ」から届く信号として捉え、幾何・物理モデルによって読み解くことで、鏡像スピーカを仮想的なアンカーとして利用し、少数のスピーカから高精度に位置を推定します。
その鍵となるのが、多数の反射波から利用すべき信号を正しく特定する技術です。信号処理に加え、反射経路の確率モデル、送信機の指向性・周波数特性、幾何的制約などを組み合わせて反射波を識別します。こうした反射を情報へ変換する考え方と、それを支える信号処理・推定・モデリング技術が、その後の屋内測位研究につながる基盤となっています。